電脳道楽館S ミスティック・ミュウ/第2話 勇者の伝説 #2 ルビー  

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ひとしきり走ると木造のちょっと大きな建物が目に入ってきた。何か看板らしきものがあがっている。とはいっても、俺にはこちらの文字はなんて書いてあるのかさっぱりで、ミュウがいうには、ここが、ランチハウス『エルブン』だそうだ。

207a04s3.jpgミュウ「こんちわーっ。」
マスター「いらっしゃい! あ、ミュウちゃん久しぶりだねェ。今日は何にする?」
ミュウ「まさと、メニューわかんないでしょ?」
まさと「おう。」
ミュウ「マスター、ミシュリアサンド3つね。シルフィーも、いいよね。」
シルフィー「うん。」

ミ、ミシュリア・・・タイヤの丸焼きが出てくるんじゃないだろうな・・・?

マスター「はい、おまちどうさま。」

なんだ、ホットドッグではないか。よかったよかった。

ミュウ「あたし、食べてる時が一番、し・あ・わ・せ!」
まさと「あまりパカパカ食ってるとブタになるぞっと。」
ミュウ「大丈夫! あたしは食べたぶんはきっちり運動するから。」
マスター「それって暴れるっていわないかい?」
ミュウ「マスター。勘定はらわないわよ!」
マスター「あいた。かなわないなミュウちゃんには。」
ミュウ「その『ちゃん』はやめてよぉ! 女の子みたいじゃない。」
まさと「あ、なるほどミュウは男の子だったのか!」
ミュウ「あ。・・・あはは。」

と、照れ笑いを浮かべながらミュウは水を口に運んだ。

207a04s4.jpgミュウ「!」
ミュウ「マスター! これお水じゃない! お酒よ!」
マスター「え? あ、いけねェまたやっちまった。タンクの配置すぐ忘れちまって。」
まさと「あ、ほんとだ。タダ酒もらいっ!」

ぐびびびびっ

ミュウ「はっ! シルフィー飲んじゃだめっ・・・て、もう遅かったみたい・・・ね。」
210b01.jpgシルフィー「うぃーっく! うるせーぞ! バーロー!」

げ!・・・シルフィーが<おぢさん>になってる・・・。

ミュウ「ひゃー! どうしよう!? シルフィーは酔っぱらうと手が付けられなくなるのよ。」
シルフィー「なんらとー! わらひが酔っぱらっれ、ろこが悪いってのら! ころ、すっところっこい!」
ミュウ「あわ、あわ、あわ、・・・。」
まさと「・・・ふっ。」
ミュウ「な、なによ、その『・・・ふっ』は?」
まさと「いやあ、ミュウにも苦手なモンがあると思うと、つい・・・。」
ミュウ「なによぅ?」
←げんこつを握りしめてる
シルフィー「ますぅわぁとぉーっ! 今から尻に敷かれれ、ろーすんらよっ! ばーんといけ! ばーんと!」
まさと「ばーんとどーせーちゅーのよ?」
シルフィー「ゆーべのころいっへんのよ!」
まさと「ゆ、ゆうべ?」
シルフィー「なんれ、エッチしなかっらのらー! ミュウはいいっていってたりゃにゃいかー!」
ミュウ「あっあっあっ、あれは・・・じゃなくて、何んて事いい出すのよぅ!」
まさと「あ、あれはだな。一人前の男と女の絶妙のかけあいというかなんというか・・・。」
シルフィー「いひにんまえらー? わらわひゃないれよねーまひゃとはいいろしれ、ミュウらんかまりゃころもらんらよー!」
ミュウ「ギクッ!」
まさと「ん? どした? ミュウ?」
シルフィー「ひゃーはっはっはっ・・・ういっく。」
ミュウ「シ、シルフィー、お願いだからあの話はやめて。」
シルフィー「ミュウは、ついころあいらまれ、あらひがオムツをかえてやってたのらー!」
ミュウ「・・・うう・・・言っちゃった・・・しくしく。」
まさと「オ、オムツ?」
シルフィー「んー? そのカオはしんじれないな? そーいうころもあろうかと、用意しろいたもんがあるんら。これみれば、ぜっらい、信用するっれ。」
ミュウ「ええ? あんなものまだ持ち歩いてるのォ!?」
まさと「おーい。ミュウ、あんなものってナニ?」
ミュウ「あ、あんなものは、・・・あんなものよ。・・・まさとの意地悪。」
シルフィー「あらひ知っれるよー! これのころらよー!」
ミュウ「あー! ダメーッ!」
210b01b.jpgまさと「・・・・・・・・・・・・・・・・おお!」
ミュウ「『おお』じゃなぁい!」
まさと「真ン中の赤ン坊、もしかして、ミュウか?」
ミュウ「ダメダメダメ、見ちゃダメだってば!」
まさと「あ、おもらししてる。」
ミュウ「えーーん!」
まさと「まあ、まあ、ガキの頃の事じゃないか、誰だって、おもらしくらいするさ。」
ミュウ「そうだけど・・・うう、恥ずかしいよう。」
まさと「あれ、この右の赤い鎧の人、ひょっとして、ミュウの親父さん?」
ミュウ「そう、妻と子を置いて放浪の旅に出たバカ親父。」
まさと「しかしまあ、ずいぶんとハデな鎧だな、こりゃ。」
ミュウ「あたしは、そう悪くはないと思うけど。」
まさと「あれ、りゅうのまもりをつけてるってことは、ひょっとして、この左の白い服の女の人は・・・。」
ミュウ「あたしの母さん。」
まさと「へー。ミュウのお母さんて、気の強そうな人かなって思ってたけど、そうでもなかったな。」
ミュウ「ひょっとして、ケンカ売ってんの?」
まさと「あ、いや、め、滅相もない。」
ミュウ「どうせあたしはガサツよ。」

あ、マスターがウンウン頷いてる。おいおい。

まさと「悪かった、悪かった。」
まさと「それにしても、シルフィーのお母さんのイヤそうな顔。」
ミュウ&シルフィー「ぷっ!」
まさと「へ? 何? 俺、今、何か変な事言った?」
シルフィー「ましゃとしゃん、それあらひらよ。」
まさと「・・・・・・・・・・・・・うそ?」
シルフィー「うひょりゃにゃいよ。」
まさと「だって、今とぜんぜん変わってないぜ、そりゃたしかに髪の毛が短かったりするけど・・・。」
まさと「お、お前ら歳いくつだ!?」
ミュウ「ムッ! 失礼なヤツ! ・・・でも、まあこの場合仕方ないか。いい? あたしが60歳でシルフィーが120歳よ。」
まさと「ろ、60に、120だぁ!?」

・・・・茫然自失。こ、こいつら、そんな婆さんだったのか? しかも、シルフィーはうんと年上・・・。

ミュウ「ちょっと、まさと。何か勘違いしてない?」
ミュウ「エルフは人間よりもうんと長寿なのよ。もっともあたしはハーフだから、そんな長くは無いけど。」
シルフィー「若作りなんかじゃないろー。若いんらー。」
ミュウ「それでね、その写真を撮った頃、シルフィーは60歳で、ハーフで成長の早いあたしが60年たった今、シルフィーに追いついちゃったって訳よ。」
まさと「・・・・・はあ。」
ミュウ「ちょっと、しっかりしてよ。目が点になってるわよ。まさとったら!」
シルフィー「おーい!」
まさと「・・・・・・・・はーい。」
ミュウ「だ、だからね。人間の歳に換算すると、二人とも20歳で、この間、成人したばかりなんだからね。ちょっとぉ! まさとってば!」
まさと「・・・な、なんだ、そんなもんなのか。俺はてっきり・・・。」
ミュウ「お願いだから、お婆さん扱いしないでよ。」
まさと「な、なんとなく理解したぞ。」
女の人の声「ただいま、マスター。」
マスター「あ、ルビーさん、おかえり。」

あれ、あの女の人、ウエイトレス・・・かな。

ルビー「はいこれ、お勘定ね。」
マスター「ほいよ。ご苦労さん。」
ミュウ「あれ、マスター、女の人雇ったの?」
マスター「まあねェ。」
ルビー「あ、常連さん? それじゃごあいさつしておかなきゃね。」
211b02.jpgルビー「いらっしゃい。ルビーよ。よろしくね。」
まさと「ルビーさんか、キレイな名前ですね。俺、まさとです。」
ミュウ「まさと人格変わってるわよ。あたしミュウね。」
シルフィー「あらひ、シルヒー。」
ルビー「えっと、まさとさんに、ミュウさんに、シルヒーさん、ね。はい、覚えたわよ。」
シルフィー「ちっがーう! シルヒーらの!」
ルビー「え?」
ミュウ「・・・シルフィーって言ってるみたいです。」
ルビー「あ、ごめんなさい。シルフィーさんね。今度は間違いないでしょ?」
シルフィー「よひっ!」
まさと「し、しかし・・・何と言うか、いい衣装ですね。」
ミュウ「あ、目がやらしい・・・」
まさと「ばっ・・・ななな、何言って・・・」
シルフィー「やきもち。」
ミュウ「がっ・・・そうじゃないってぇ。」
ルビー「あら、妬けちゃうな〜。こんな器量のいい彼女がいるなんてっ。」
ミュウ「・・・もう、どうとでも言って。否定する気も起きなくなってきた・・・」
シルフィー「れも、はっきりしないんらよー。ゆうべもなんもれきなかったひー。ゆーひゃのくしぇにららしないのら〜。」
まさと「まだ勇者と決まったわけじゃないって〜。」
ルビー「え!? 勇者!? まさとさん勇者なの?」
まさと「いや、その、シルフィーが言うにはね。思い過ごしっすよ、思い過ごし。」
シルフィー「あっ、そうらー! ミュウひゃん、ほろほろおむちゅ変える時間でしゅよ〜。」
まさと「はぁ?」
ミュウ「ちょっと、シルフィ・・・や、やめてってってっ・・・きゃあ!」
シルフィー「こら! おとなしくしなさい。おねいちゃんの言うころがひけないんれしゅか?」
まさと(観念しろ、ミュウ。残念ながら酔っぱらいに行動理念はない。)
ルビー「あ、あの・・・」
<ただ呆然
マスター「あー、ルビーさん、いいからいいから。いつものことです、いつもの。」
まさと(原因作った人が言うか? 言うか?)
ミュウ「もう! まさとも見てないで何とかしてよ〜。」
まさと「んー、しょうがねえなぁもう。」
ミュウ「あ、早く、は、あ、だ、駄目、脱がされる〜〜〜!」
まさと「シルフィー。ちょっとちょっと。」
シルフィー「んー、なんなのらー。今いしょがひいのら〜よ。・・・う。・・・・・・・ぎぼぢわづ。うきゅ。」
ミュウ「あうー。お願いだからあたしの上で吐かないでね。」
211b02b.jpgまさと「ミュウがさ、曲芸見せてくれるって。な、ミュウ!」

そういいながら、俺は転がされてるミュウの頭の方にまわる。

ミュウ「え? 曲芸? なんで?」
まさと「何言ってんだよ、さっき見せてくれるって言ってたじゃないか! な!」
ミュウ「え・・・あ、そうそう! 忘れる所だった。曲芸よね、曲芸、うんうん。・・・う〜?」
シルフィー「いいのらー、やってみるのら〜、きょくげいきょくげいー。ぱちぱちー。」
まさと「では! だらららららららららららららららら〜」
ミュウ「な、なに? そのだららららって?」
まさと「曲芸に付き物のドラの音だよ。」
まさと「さっ! 本日の見世物は本邦初公開! まったく身動き出来ない状態からの大脱出! 瞬間空中大車輪とござ〜いっ!」
ミュウ「ぅわ・・・・きゃっ!」

俺はミュウのひざの裏あたりを双方の手で掴み、勢いをつけて手前に引っ張る。すると、ミュウは後方にでんぐりがえりをする形でぽんと起き上がる事になる。

まさと「ジャン!」
シルフィー「・・・・・・ぅ、おおおお!」
まさと「はいっ! 大成功〜! 皆さん拍手拍手〜! ひゅーひゅー!」
シルフィー「あはー、ぱちぱちぱちー!」
ミュウ「さ、サンキュ・・」
まさと(小声で)「何やってんだ、成功したら楽屋に下がんなきゃ。・・・ほんで、ほとぼり冷めるまで隠れてろ。」
ミュウ(小声で)「あ、うん。」
まさと「でんでんでんでんでんでん・・・・」

そのままミュウはそそくさと店の外へ。

ルビー「へー、おみごと。」
まさと「本日の見世物はこれにて終了。またのお越しをお待ちしておりまぁ〜す。てけてんてんてんてんてん・・・・」
シルフィー「・・・・・・・・・・・・・・あんまひ、おもひろきゅにゃい。」
まさと「あうっ・・・」
シルフィー「おもひろきゅらいから・・・・ねる・・・ん・・・しょっと・・・」
まさと(しめた、怪我の功名、不貞寝モードに入ってくれたぞ。)
シルフィー「くぅ・・・・・・スゥ・・・・・・・・・くぅ・・・・・・」
まさと「やれやれ・・・・」
ルビー「すごいわね、いい手際だったわ。どこかでそういう仕事してたの?」
まさと「あ、いや、アルバイト先が酒飲みばっかりなもんで、扱いに馴れちゃったって言うか。馴らされたって言うか。」
マスター「やーやー、なかなかどうして堂に入っていたじゃないか。感心しちゃったよ。」
まさと「ははっ。でも、どうしよう。この後のこと考えてなかったぞ。」
マスター「ああ、そうだねぇ。シルフィーちゃんは奥の宿部屋で寝かせてやるといいよ。どの部屋も空いてるから、手近な部屋を使ってくれればいい。そのままだと風邪引いちゃうだろうからねぇ。ついでに君も一休みして行くといい。」
まさと「すみません。そうさせてもらいます。・・あ。そうだ、ミュウ探さなきゃ。」
ルビー「ああ、それなら私が行ってくるわ。そんなに遠くには行ってないでしょうし。」

ルビーがミュウを探しに店を出るとマスターに案内してもらい俺はシルフィーをベッドで休ませ、俺も、その隣の部屋で一休みさせてもらう事にした。

まさと(ほんと参ったな。シルフィーがああも酒乱だとは思わなかった。それも完璧に『とら』になってたし。いや、ソレよりもあいつ等の歳か。長齢と言われりゃ納得も行くけど、あんなに長く生きてたとはなぁ。俺なんか『がきんちょ』じゃねぇか。ははっ。)
212b03.jpgミュウ「まさと・・・。」
まさと「お。戻ってきたか、ルビーさんから聞いたと思うけどアレからシルフィーすぐ寝ちゃってさ。となりの部屋で少し休ませてもらってる。」
ミュウ「うん。聞いたわ。ごめんね、手間掛けちゃって。まさとにはほんと感謝してる・・・あ、そこ、座っていい?」
まさと「え、あ、構わないよ。」
ミュウ「じゃ、遠慮なく。」

ミュウは何か言いたげな表情で俺の向かいの椅子に座った。しばらく、喋るでもなく時間が過ぎる。

まさと「・・・あ」
ミュウ「あ。」
まさと「な、何だ?」
ミュウ「うん・・・・ゆうべはごめんね。その、邪魔が入っちゃって・・・。それに今朝も。怒ってない?」
まさと「あん? 何だよ?」
ミュウ「だ、だから。も、もう、全部わたしに言わせないでよ。」
まさと「ん? いや、何の話だ?」
ミュウ「もう、そういう時は鈍感なんだから。今日ね。ここ泊まってもいいって。マスターが言ってた。」
まさと「へぇ。暇なんだろな。宿部屋って言ってたけど、他に客居ないみたいだし。甘えちゃうか〜。」
ミュウ「うん。いいと思う。・・・それでね。・・・わたしもこの部屋に泊まろうかなって・・・」
まさと「ヘ? この部屋・・・て・・・・えーーーーーーーーーーーーーっ!?」
ミュウ「し、バカ、声が大きいわよ。シルフィーが起きるでしょ。」
まさと「あ、ごめん。でも、ソレって、まさか、なぁ。」
ミュウ「その、まさかかも。それとも、わたしじゃ役不足かな?」
まさと「いや、そんな・・・けど、俺と? まじ? 今朝はあんなに怒ってたじゃねぇか。」
ミュウ「だ・か・ら。邪魔が入ったって。シルフィーが居たから。そんな雰囲気になれるわけないじゃない。ね。わたしはお礼がしたいの、一宿一飯でちゃらなんて、そんなじゃ申し訳ないし、それにわたし、あなたのこと・・・。ね。だめ?」

もじもじと話を続けるミュウ。怒りんぼなだけかと思っていたら、結構かわいげなとこもあるのな。

まさと「んーーーーーーだめじゃないかも。」
ミュウ「うふ・・じゃ、決まりね。」

シルフィー「はふ・・・あ・・・どこ・・・ここ?」

隣の部屋ではシルフィーが目を覚ましていた。

シルフィー「・・・・ああ、そうかぁ、あたし、やっぱらっらったったんだっけぇ〜。・・・・ふぇ。」

ベッドから起き上がると、シルフィーはふらふらと部屋の外へ。そして、廊下をちょっと歩いて、隣の部屋の前・・・・・・って、まずい! 今はまずいって! シルフィー〜〜〜〜〜!

シルフィー「ん〜、なんか声がするろ? ・・・ろれろれ・・・」

ああああ!覗くんじゃないってぇっ!!

シルフィー「・・・・・・・・・・・・おおおおおおお☆」

万事休す。(泣)

213b04.jpgミュウ「ほらぁ、どうしたのぉ。遠慮しなくってもいいんだよ? なに恥ずかしがってんの?」

ベッドの縁に寝転がり、俺を誘うように、いや、誘いを掛けてくるミュウ。俺はあまりの好展開にちょっと慌てていた。

まさと「いや、あ、わ、わかって、その、べ、べつに遠慮とかそんなじゃ、そ、そう、いや、こ、こういうのはだな、順序ってのが・・・」
ミュウ「なぁに、取り繕ってんのぉ。いいじゃない、型にはまんなくても。さ、こっちおいでよ。」
まさと「・・・は、はい。」

シルフィー(くふふふふふ。そうかぁ。なかなかうまくやってるんじゃないのぉ。おねーさん安心しちゃったぞぉ〜。うんうん。でも、まだ心配だからねぇ、もうちょっと見守っててあげよぉ〜。うふ。)

いや、見守んなくていいって。(笑)

俺が側へいくとミュウは半身を起こし腕を俺の背中に回して自分の胸を押し当てるように寄り添ってくる。

まさと(うほ。これは嬉しいかも☆)
ミュウ「聞こえる?」
まさと「え?」
ミュウ「ほら、こうしてるとお互いの心臓の音、伝わるでしょ?」
まさと「あ、そうか・・・」

言われてみればそんな感じが。トクン・・・トクン・・・トクン・・・。自分のなのか、相手の物なのか、心臓の鼓動が一定のリズムを刻んでいる。

ミュウ「ね、目を見て・・・・」

そう言うとミュウは俺の顔を見つめる。

まさと「うん。」

俺も見つめかえす。
ミュウの瞳は色素なのか、血液が透けてみえるのか、赤く、神秘的だった。
一瞬、吸い込まれそうな錯覚に陥る。

ミュウ「もう、わたしのものだよ・・・」

そう言って微笑みかけるミュウ。俺は動く事が出来ず、ただ見つめかえす事しか出来なかった。

シルフィー(い、いけー! そこだー! 今しかないぃぃぃ!)「・・・・うえっぷ。」

・・・・この際、外野は無視しよう。(笑)

???「あれ。シルフィー、そこでなにやってんの?」
シルフィー「ふふふふ。なにっておまいさん。野暮な事をお聞きだ・・・・・・・・ええええええええええっ!?」

シルフィーが何を見て驚いたのか俺は知る由も無いが、こっちはそれどころではない。なぜそれどころじゃないかってぇと。

まさと(か、体が動かねぇ!)

そう、金縛りにでもあったかのように、体がぴくりとも動かないのだ。いや、まったく動かない訳じゃない。ちゃんと動いている。ただし、本人の意思に反してだ。

まさと(っ!・・・どうなってんだ一体!?)

俺の手はミュウの腰紐を引き解き、今まさに彼女の服を引き上げ脱がし取ろうしている。いや、状況としては合ってはいるんだが。なぜそうなる?

ミュウ「不思議そうな顔をしてどうしたの? 言ったでしょ。もう、わたしのものだって・・・ふふふ・・」
まさと「!?」(変だ! 何かおかしい! 何だってからだが言う事を・・・)

考えるまもなく、俺の腕はミュウから衣服を剥ぎ取ってしまった。おーまいがっ。

ミュウ「知りたいの、あなたの事が。あなたの全てが。さぁ、私に教えて、あ・な・た・を・・・・」

そう言うとミュウは俺をベッドへいざなう。俺のからだも勝手に動く。どうなってるんだ? 何が起こっているんだ?

まさと「ちょ、ちょっ、ちょっと待・・・」

俺がそう言おうとした時・・・・

???「ちょぉっと待てぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

214b05.jpg
あたりに絶叫がこだました! そしてけたたましい破壊音とともに誰かが飛び込んできた。それは・・・・。
赤い鎧に身を包んだ『ミュウ』だった。

飛び込んできたミュウ「一体何がどうなってんのよっ! なんであたしがもうひとりいるのっ!? 説明しなさいよっまさとっ!!!」

俺が説明して欲しいくらいだ。(汗)

飛び込んできたミュウ「そっ、そっそっ・・・それになにやってんのよっ! バカッ!」

あう。返す言葉が無い。(汗)

飛び込んできたミュウ「さ、さっさと離れなさい! このバカッ!」
まさと「だー。そうバカバカ言うなよ〜。お。体が動く!」
ミュウ「ふ。本物が帰ってきたんじゃ、もうお芝居は終わりね。」

今まで居たミュウはそういうとぱっと跳ね起き、一瞬、闇に包まれたかと思うと、再び姿を現したのは・・・『ルビー』だった。

ルビー「惜しいわねぇ。もうちょっとで成功するところだったのに。」
ミュウ「ええ!?」
まさと「ルビーさん!? な、なんで!?」
シルフィー「うひゃひゃー。性交だって〜。ひゃー。おしかったねぇー。」
ルビー・ミュウ・まさと「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。(汗)」

誰か、この酔っ払いどうにかしてくれ。(笑)

まさと「・・・えっと、その。」
ミュウ「・・・・なんか、ばかばかしくなってきた。」
ルビー「ふぅ。」
まさと「で、その、ルビーさん。」
ルビー「あ、はい!」

こころなしかなんかすごく間抜けな会話をしてるような気がする。(汗)

ミュウ「はい、じゃないわよ。どうしてルビーさんがまさとを!?」
ルビー「ああ、それね。・・・まさとさんが勇者だから。かな?」
ミュウ「違うと思うけど。」

何もそうあからさまに真っ向否定しなくても。いや、勇者なんかじゃない方が気楽だけどさ。

ルビー「あら、わからないわよ? 勇者かどうかなんて見た目ではわからないし。」
ミュウ「ねぇ、一つ聞いていい? どこがいいの? この度スケベの?」
ルビー「違うわ。」

そうだ。違うぞ。俺は度スケベなんかじゃない。

ルビー「私は勇者を倒しに来たの。」

そう、勇者を倒し・・・・・なにいぃっ!?

まさと「倒しにって、ルビーさん!?」
215b06.jpgルビー「ふふふ。驚いた? 私は魔導三人衆が一人『魅惑のルビー』よっ! あなたが勇者である可能性がある以上、消えてもらうわっ! 覚悟なさい!」
ミュウ「魔導・・・・! まさと! さがってっ!」

言うが早いか、ミュウは俺とルビーの間に割って入り、ファイティングポーズをとる。

ルビー「ミラージュ・・・」
ミュウ「その呪文はっ! ちっ。・・・・・っせいっ!」

ミュウは蹴りを繰り出すが、その蹴りはルビーをかすめ、近くの柱にヒットする。惜しい!
続けざまに反対の足で蹴りを繰り出すミュウ。だが、今度は空を切る。

ミュウ「くっ。」
ルビー「無理よ。当たらないわ。いくら攻撃したって当たるはずもないもの。」
シルフィー「ほぇ〜すけだち〜。」

おい。大丈夫なのか、おおトラなのに。(汗)

シルフィー「ぼるびっつ!」

シルフィーの手のひらから無数の光が飛び出す。当然、ルビーには当たらない。その上・・・・

まさと「うぎゃふっ!」

なんで、俺には当たる?(大汗) あ、体がびりびりする。どうやら電撃系の魔法のようだ。酔ってるとはいえ、部屋の中だ。火炎系とかでなく、電撃系を使うのはさすがといったところなんだろうな。味方攻撃してちゃ世話ねぇけど。
入れ替わるようにミュウがこぶしを打ち出す。が、これも先の二の舞という奴。

ミュウ「なんであたんないのよっ!」

しかし、変だ。俺にはミュウがわざと外しているように見える。これはひょっとして・・・俺はもう一度ミュウの攻撃を注意深く見守った。

ミュウ「てぇえええいっ!」
ルビー「無駄よ無駄。何度やっても当たらないわ。」

間違いない。ミュウは、幻覚を見せられている。そりゃ攻撃しても当たらないはずだ。

シルフィー「ぼるびぃーーーーっつ!」
まさと「うぐぐがががっ!」

また、俺だけにシルフィーの魔法攻撃が当たる。それも5発。・・・・・こっちは多分酔ってるせいだな。(汗)
俺は、ルビーの気を逸らす作戦に出る。そうすればルビーの気がちょっとはゆるむはずだ。そうなれば、一瞬でもミュウに掛かった術が弱まるかもしれない・・・。

まさと「べろべろべろ〜。」

ルビーに向かってべろべろばーしてみる。・・・ルビーは無関心。

まさと「ふんっ!」

今度は中指を立てて見せる。・・・・反応無し。
調子に乗っておしりぺんぺん・・・・おい、これでも反応無しか?
・・・・ひょっとして、俺は今、まったく忘れられてる?
と、言うより、ミュウに幻覚を見せる為にルビーは他の事がおろそかになっているんじゃ?

まさと(よしっ。)

俺はゆっくりと壁伝いにルビーの後ろに廻る。そして、一気にルビーの背後に取り付き・・・・・・

216b07a3.jpgまさと(必殺・・・・・・くすぐり地獄!)

ルビーの脇腹を後ろからこちょこちょやる訳だ。しょぼい攻撃ですまん。(笑)
だが、効果はあった。

ルビー「きゃっ・・はっ・・・あっ・・・あっ・・・や、やめ・・・きゃははっ・・・くはっ!」

おお。効いてる。ルビーは必死に払いのけようとするが、バックをとった側はこういう場合、天下である。右に左に巧みに廻り込み、くすぐりを続ける。よし、このままパワーアップしてやれ。

まさと「どりゃどりゃどりゃぁぁぁ〜〜〜。」
ルビー「はっ・・・ひゃっ・・・あっあっあっあっ・・・」
まさと「こぉ〜ちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ〜〜〜〜!」

ここで笑っちゃいけない。このいかにもくすぐってるって感じの掛け声が効くのだ。この掛け声がくすぐられているという意識を増幅し効果を倍加してくれるのだ。

ルビー「ぃあっ・・・ひゃっ・・・あっ・・あっ・・あっあっ・・・はっ・・・あっあっあ〜っ・・・・」
ミュウ「まさと!?」

お。ミュウも、正気に戻ったみたいだ。

まさと「ミュウ、い、今のうちに・・・」
ルビー「あ・・う・・あっあっ・・・・あっっ・・・・・・・・・・は・・・・・」
<カクッ>
まさと「あ、あり?」

217sp1.jpg
ルビーはその場に崩れ落ちた。・・・・どうやら悶絶して気絶したらしい。(汗)

シルフィー「くぅ・・・すぅ。」

シルフィーは魔法攻撃を繰り返して疲れたのか再び寝入ってしまった。

ミュウ「はぁ・・・あきれた。まさか、あんな倒し方があったとはねぇ。」
まさと「いや、ま、その。俺も、びっくりしてる。」
ミュウ「びっくりしたのはルビーの方でしょうねぇ。さぁ、それより、今のうちに縛っとくわよ。聞き出したい事もあるし・・・ほら、手伝うっ。」
まさと「へいへい。」

エルブンのすぐ側の茂みからこの様子を伺っている人物が居た。

???「失敗したわね、ルビー。それも、あんな負け方するなんて。恥さらしもいいところだわ。見てなさい、私はしくじったりはしない・・・」

そう言うと、その人物は踵を返し茂みの奥へと消えた。当然、俺達はこの人物の事はそこに居た事すら分かるはずも無い。
そして、目を覚ましたルビーから聞き出した事実は驚くべき物だった・・・・

第2話#3ヘ続く−

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