電脳道楽館S ミスティック・ミュウ/第1話 Boy meets Gal's  

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Marx-まあくす-

1n07.jpg 俺の名は、柾人(まさと)。ちょっとしたつてで、デバッガのバイトをしている、しがない大学生である。
その日も、授業が終ってから、マンションの一室で、開発中のゲームソフトのテストプレイをやっていた。外では雷が鳴っていた。 と、その時・・・・・・・・・

104p02.jpgドッシャーーーーンッ! バリバリ・・・・・・・・・・
まさと「うわっっ!」

雷がこのマンションに落ちた! いや、正確にはマンションの避雷針にだが。

まさと「いけねっ!」

ゲームのデータがやられる!! そう思った次の瞬間、モニターがまぶしいくらいに輝きだした。あまりのまぶしさに目が眩む。そしてめまい。めまい? そう思った瞬間、身体が浮遊感に包まれた。

まさと「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・」

そしてここで意識が途切れた。


気がつけば俺は見覚えのある、森の中にいた。

まさと(うう・・・まだめまいがする。なんかローラーコースターに何時間も乗ってたみたいだ・・・・・・・・・・・・・・・ところで、ここはどこだ? 見たことがあるような景色だけど。)

見た覚えがあるはずである・・・さっきまでプレイしていたゲームの森にそっくりなのだ。

まさと「嘘だろ・・・おい。」
???「きゃぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

悲鳴が聞こえた。女の子の声。それも近い!

ガサガサガサッ

枝葉を揺らし声のした方へ俺は走った。理由は無かった、ただ、反射的に身体が動いていた。すぐ木々が途切れ道のような所へ出た。声の主はそこにいた。そして、自分の目を疑うようなモノも。

109a02.jpgまさと(おおおっ女の子が、もももっモンスターに、おおおおおおおおおおおおおおおっ襲われているっ!!!!! どっどっどっどうしよう・・・・・・・・・・・やっぱり助けてあげるのがいいに決っているけど、俺なんかで何とかなるんだろうか?)

自慢じゃないが、俺はケンカが弱い。弱いくせにとにかく曲がった事が嫌いで幼稚園の頃から、ケンカを繰り返してきたが、大抵やられた。

ワーウルフ「ぐひょひょひょ! 観念しな薬でろくに動けやしねぇぜ」
女の子「あう・・・あうあ・・・・・・・・・う・・・・・」
まさと(ぬぅわにいぃーーーーーーー! くすりだとぉ!!! 薬なんか使わないと何にも出来ん奴など強いわけがないっ!俺がぶっとばしてくれるわっっ!!!)

キレた。こうなったら俺に恐いものはない。何にだって突進してゆく。

まさと「そこまでだ! それ以上の悪逆はこの俺がゆるさーーーーーーーーーーーん!!!」
ワーウルフ「なっ! なんだてめえ! 人間の癖に俺様とやろうってのか!?」
まさと「うるせぇ!イヌコロがきゃんきゃん吠えるんじゃねぇ!」

と、言うが早いか蹴る! 喧嘩は先手必勝! ・・・・勝った事はないが。そしてその蹴りは見事ワーウルフの腹を直撃した! 幸運の女神が微笑むというのはこういう事を言うのだろうか。今まではまずこの一蹴は当たったためしがなかったのに。
クリティカルヒット!!!!!!!!!

ワーウルフ「グゥオオオオオオンンン・・・・・」

ワーウルフは腹を抱えながら千鳥足で逃げる。俺はソレを追うことはしないことにした。

まさと「ふう、やっと片付いた。」
まさと「ワーウルフだよな・・・あれ。あんなのが出て来るなんて、いったいここは、どこなんだろう?」
まさと(あ! そういえばあの女の子はどうしたんだ? 姿が見えない!! 何処かへ行ってしまったんだろうか。逃げちゃったのかな? ここが何処なのか聞かせてもらおうと思ったのに・・・・・・・・・あっっ! いたいた! こんな所で気を失ってる。いや、薬が効いてるからか・・・・・・・)

1n01.jpg
女の子の衣服はワーウルフのツメに切り裂かれずたずたになっている。が、見た所怪我はない様だ。しばらくすると、女の子は目を覚ました。

まさと「もう大丈夫。ワーウルフは、俺が片付けたから、安心していいよ。」
1n02.jpg女の子「あ・・りがとう、助かった・・・・・。」

!!!!!!!! この子は、俺がテストプレイしていたゲームのヒロイン、<ミュウ>じゃないか!!

まさと「ひょっとしてきみは、ミュウっていうんじゃないか?」
女の子「!!!!!!!!!! みぃゅうううぅぅぅ!?」
まさと「だーーーーーーーーっっ!!!!その、<ところてん>を押し出すような発音は、やめてくれーーーーーーー!!!!!!!」
ミュウ「だーー!じゃないわよ!!どうしてあんたが、あたしの名前知ってんのよ!?」
まさと「やっぱり・・・・。 いや、ごめん。びっくりさせちゃったかな・・・・・」
ミュウ「・・・・・・・うん。なんで? あたし、あんたにあった事・・・無いよ?ね?」

ミュウは目をまるくして俺を見つめている。どうやら俺はゲームの世界に入り込んでしまったらしい。こんな事がほんとにおこるなんて。

まさと「うーーーん。 何から話したらいいのか・・・・ちょっと長くなりそうだけど・・・」
ミュウ「・・・だったら、うちへ来ない?」
まさと「え!? うちってきみの?」
ミュウ「その・・・、やぶれた服を着替えたいし、ちゃんとお礼がしたいから。」
まさと「その、なんだ、ここで礼なんかいらねぇよっていって、走り去りゃカッコいいんだろうけど、俺、この辺初めてつうか・・・その・・・ははは・・・」
ミュウ「じゃ、いいじゃない。後で道案内してあげる。」

ミュウに促されるまま、俺は彼女の家に向かった。森を抜けた見通しのいい場所に彼女の家はたっていた。

116b03.jpgミュウ「見た目はボロだけど、住みごこちは結構いいのよ。」
まさと「おい・・いきなり親が出てくるんじゃないだろうな?」
ミュウ「え?」
まさと「だからさ・・・・」

ミュウ「ただいまーーー!」
ミュウの母「おかえ・・・・・・! どうしたのその格好は!? ちょ・・ちょっとお父さんっ!!」
ミュウの父「んー? どうした母さん。」
ミュウの父「!!!!!!!!」
ミュウ「あ、あの・・父さん?」
ミュウの父「ミュウ・・・言わずともよい。おのれ! よくもうちの娘を! 成敗してくれる!」
ミュウの父「ミュウパパファイナルクラッシュッ!」

ドシュウゥゥゥゥッ!!

まさと「うっっぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ!!!」

まさと「・・・なんてのは、やだぞ。」
ミュウ「何考えてんの、あたし、一人暮しなのよ。」
まさと「そなの? じゃなんで煙出てんだよ?」
ミュウ「エ・・?」
ミュウ「キャーーーーーーーーーーーーーー! お鍋かけっぱなしで買物に出ちゃったんだぁ!!」
まさと(・・・・・・あるんだな、ゲームの中でもそういうのって。)

妙に納得してしまったりして。

ミュウ「あたしの夕飯がぁーーーーー!!!!!!」

慌てて駆け出すミュウ。すでにあらわになった胸を隠す余裕すら無いらしい。見事に揺らしながら駆け込んでゆく。

夕飯は間一髪無事だった。

117b04.jpgミュウ「あーよかった。 夕飯が全滅してなくて。」
まさと「夕飯よりも火事の心配をするべきだったと思うが・・・」
ミュウ「あはは! それもそうね。」
まさと「ところで、えらく着替えるのがはやいな?」
ミュウ「そお? あ・・・・・ひょっとして期待してたんでしょう?」
まさと「ミュウ! それは大きな誤解だぞ!! 期待しているのは、この俺じゃない、これを見ている人もそう思っているに違いないだろうと・・・」
ミュウ「いま、『見ている人<も>』って言わなかった?」
まさと「ギクッ!」
ミュウ「絶っ対にイヤッ!」
ミュウ「それより、えっと・・・」
まさと「・・あ、そうか、俺は<まさと>っていうんだ」
ミュウ「ふーーん・・・・まさと・・ね」
ミュウ「じゃ、まさと。 聞きたい事はいろいろあるけど、先に夕飯をすませようよ。無論、さっきのお礼もかねて。」
まさと「んじゃ、ごちになりまーす。」

がつがつ・・ムシャ・・じゅるじゅるじゅる・・バリバリ・・もしゃもしゃ・・ごっくん!

ミュウ「スゴイ食べかたするわね・・・」

・・・てなわけで、夕飯をご馳走になり・・・あれ? たしかゲームをやってる時は夜中だったような??? 俺ってそんなに長い間気を失ってたのか? ・・・・・・・・・・・・ま、いいか。

ミュウ「どう? おいしかった?」
まさと「おう! べりぎゅーなていすとだったぜ!」
ミュウ「結局、いつもより多目に煮込んじゃったのが良かったみたい。」

ミュウ「さぁお腹もいっぱいになった事だし、まさと、あなたの秘密を聞かせて。」
まさと「そう!俺には26の秘密が・・・って、変な聞きかたするなよ、思わずのっちまったじゃないか。」
ミュウ「ごめんごめん、あたしが聞きたかったのは・・・・・・・・・・・・」
まさと「なぜ、ミュウを知ってたかってことだろ?」
ミュウ「そうそう!」
まさと「数時間前になるかな、俺はパソコンゲームをやってたんだ・・・」
ミュウ「アソコノゲーム!!!??? なにそれ、いやらしことしてたんじゃ・・・」
まさと「パソコンだ! パ・ソ・コ・ン! どういう耳をしとるんだ、まったく。」
ミュウ「なにそれ?」
まさと「・・・・・・・・・・んが!」

パソコンとゲームの説明で一時間ばかし費やしてしまった・・・・・・・とりあえず、そういうものがある−−という事で納得してもらった。

まさと「・・・で、そのゲームに出てたヒロインが、ミュウっていって君にそっくりだった。」
ミュウ「ふんふん・・」
まさと「ゲームの途中で雷が落ちて・・・」
ミュウ「気が付いたら、あの森に居たわけね。」
まさと「そういう事なんだ。」
ミュウ「あんた、あたしをかついでんじゃ・・・・」
まさと「ないっ!」
ミュウ「ひょっとして異次元人・・・?」
まさと「超獣使いか俺は!? ・・・・・・・いや、違う次元から来たって言ったほうが解りやすいか。」
ミュウ「じゃ、すこしは今どういう状態なのか見当はついてる訳ね。」
まさと「ま、なんとなくだけど。でも、帰る方法は見当付かない。」
ミュウ「もとの世界にかえりたい?」
まさと「・・・・・・・・・・・・帰りたいよ。」
ミュウ「じゃあ帰る方法が見つかるまで、あたしんちに居なよ。」
まさと「え・・・・? いいの?」
ミュウ「命の恩人だからね。それに、ひとりぼっちの淋しさはよく解るから・・・・・」
まさと「・・・?」
ミュウ「・・孤児・・・なんだ・・・あたし。」
まさと「!」
ミュウ「父さんは行方不明、母さんもあたしが小さい頃に無理がたたって・・・・逝っちゃった。」

一人暮らしの理由がこれでわかった。家族が居なかったんだ。しかし、俺がいる手前か、ミュウはそれについて落ち込んでいる様には見えなかった。なんというか、逆に目が輝いている様にも見える。

1n03.jpgあれこれ考えていると、急にミュウがこちらへ乗り出してきた。自分の付けている首飾りを見せようとしている。首飾り自体は何の変哲もない弧をえがいた装飾を施された金属板に宝玉らしきものがはまっているだけのものである。宝玉を挟む様に竜の飾り付けがされている。

ミュウ「きれいでしょ? これ、死んじゃった母さんの形見なんだ。」
まさと「ん・・・あ・・・こういうのはよくわかんねぇけど。さっきまではしてなかったよな?」
ミュウ「忘れてたの。だからかな、ワーウルフなんかに会っちゃったの。」
まさと「お守りみたいなもんなのか、それって。」
ミュウ「そう、お守り。母さんはね、父さんと結婚する前は魔法使いとしてモンスター達と戦ってたの。もちろん父さんも戦ってた、戦士としてね。」
まさと「ヘェ・・・」
ミュウ「そんな頃、母さんに一目惚れした父さんが、この<りゅうのまもり>をプレゼントしたらしいの。」
まさと「プロポーズの意味で?」
ミュウ「そう。」
まさと「高かったんだろうな、これ。」
ミュウ「ぜんぜん! そこいらの道具屋で100ゴールドもしない安物よ。」
まさと「・・いい根性しとる・・・」
ミュウ「それでも母さんは・・・」
まさと「受けたんだ、プロポーズ。」
ミュウ「そう、物の値打ちじゃなく、父さんの心根に惹かれたって。」
ミュウ「父さんが言ったんだって『形あるものはいつしか、錆び、朽ちるが定め、なれば、私は永遠に尽きる事のない愛を贈らん』・・て」
まさと(・・・すっげーキザ!!)

1n04.jpg
カタッ キィィ・・・

入口の戸が開いたようだ。そちらの方をむくとドアの所には、細身の少女がたっていた。

少女「こんばんわミュウ。また遊びにきちゃったぁ! エヘッ!」
少女「あれ? なんだかとってもおいしそうな匂いがする・・・・!?」
121b08b.jpg少女「わわっ!わっ!わっ!わっ!わっ!エェーーーーーーーーー? 何なのこりは・・・・?」
ミュウ「その声はシルフィー?」
シルフィー「こ、これは、ひょっとして××××の☆☆☆☆なのでは・・・・・・・・?」
シルフィー「やだぁ、どうしましょぅ・・・鍵も掛けずにミュウったらなんて大胆・・・じゃなくてぇ・・・あぁぁん! あたしってお邪魔虫ぃ!・・・・見てるほうが恥しいぃぃーーーーー★★★★★★」
シルフィー「きゃーーー御免なさぁーーーい!!」

そう言うとこの壮絶勘違い娘は自分が元来た方向へと掛け去って行く。

ミュウ「ちょっとぉ! 待ちなさいってばぁ!! シルフィー!!!! なに勘違いしてんのよーーー!!」
まさと「おいミュウ、早くとっつかまえて誤解を解かないと、明日っから恥しくて表を歩けなくなるゾ!」
122b09b.jpgミュウ「う・・・・・・そんなのいや!」
ミュウ「とぉりゃぁぁっっ!!」

ダダダダッ ザッ ハシッ! ズザザァーーーーーーーーーーーーーーー!!!

シルフィー「きゃぁーーーーーん!」
シルフィー「い・・いたいのぉ・・・・・」

どうにかシルフィーを捕まえたミュウは、ついた土を払いつつ部屋に戻ってきた。

126c01.jpgシルフィー「ミュウ、御免ねェ・・・」
ミュウ「ハイハイ・・・いいわよモゥ・・・」
シルフィー「ところでぇ、この方はどなたですぅ?」
ミュウ「危ないところを助けてもらったの。お礼に夕飯食べてもらって、りゅうのまもりの話をしてたとこ。」
まさと「まさとです。よろしく。」
シルフィー「そうなんですかぁ・・・あ、あたしシルフィーっていいます。まさとさん、ミュウと仲良くしてあげてくださいねぇ。」
まさと「そりゃあ、もう・・・」
まさと「さしつ、さされつ、上になったり、下になったり・・・」
シルフィー「なんですかぁ、それぇ?」
まさと「男と女の・・・・・ま・・・じ・・・わ・・」

どげしぃぃぃぃっっっ!

ミュウ「このっスカタン!」
まさと「いてぇなぁ! なにすんだよっ!!」
ミュウ「シルフィーに変な事教えないでっ!!!」
まさと「冗談だってば。」(よくこの距離で殴れたな・・・・?)
ミュウ「ところでシルフィー。いっしょにお風呂入んない? さっきので体中砂だらけ。」
シルフィー「そうねぇ、ざらざらしてるぅ」
まさと「ぼくはぁ?」
ミュウ「じゃ、まさとは薪をくべてくれるかなぁ?」
まさと「なんだよそれ、かりにも命の恩人をだな・・・」
まさと「ん??薪?・・てことは内風呂?」
ミュウ「そ! 納得した? じゃ、よろしく。」
まさと「やだ。」
ミュウ「なんでよ?」
シルフィー「おねがいですぅ。」
まさと「ハイハイ! 今すぐ!」

どぴゅーーーーーーーーん! (←走っていった。)

ミュウ「何よ・・・この態度の違いは?」

家の裏手に釜があるらしく俺は外から廻りこんでいった。

まさと「内風呂とは意外だったな・・・・・・」
まさと「何だよ、外はもう真っ暗じゃないか! これじゃ、なんにも見えんぞ! しかたねえなあ。えーと、かまどはっと・・・お、これか。で、薪はどこかな?」

がっつん!

まさと「ぎょ! 何かにつまづいたっ!!」

すってーーん! ゴキッ!!

まさと「おごっ!!!」
まさと「いってててて! 何だぁ? ・・・おお! 薪だ!! やったぜ! 薪を見つけた!! ・・・て、つまづいて喜んでりゃ世話ねーな。」
ミュウ「まさとーっ ちょっとぬるいぞー!もっと薪くべてよーーー!」
まさと(ぷっ・・つん!)
まさと(何で俺がこき使われなきゃいけねーんだ?・・・ようし、そっちがそうなら、こっちにも考えがあるってもんだ。 ふっふっふっ)
まさと「ちょっと、のぞいてみようっと! えっと、どこからがいいかな? おおっ ここだこの窓がいいに違いない!」

125s2.jpgミュウ「ホリホリ!」
シルフィー「きゃあぁ冷たぁーい!! ミュウの意地悪ぅ!!」

白木・・・かどうかは分からないが、木で出来た風呂である。なんか新鮮。にしても、あのシルフィーって子、細い。細すぎるかもしれない。お嬢ちゃんとはまさにこんな子の為にある言葉か。ミュウとの体格の差が凄い。ミュウがややがっしりめの体形であるせいかその差が強調される。おそらくは同じ種族だろうに。

まさと(・・・・いけね、ささっと薪をくべないと怪しまれる・・・)

俺は薪をくべる事に専念する事にした。

シルフィー「あの・・・まさと・・さんちょっとぉ、聞きたい事がぁ、あるんですけどぉ。」
まさと「ん? いいよ。」
シルフィー「異次元から来たって本当ですかぁ?」
まさと「ちょっと表現が適切じゃないけど、まあ、そんなところだね。」
シルフィー「詳しく聞かせてもらえませんかぁ?」
まさと「い? まさか、もう一回説明するの?」
ミュウ「いいわ、あたしが話したげるわよ。」
まさと「たのむよ。」

面倒そうにミュウは話しだした。

ミュウ「まさとはね、いやらしい事してて、気が付いたら、この近くの森に来てたらしいのよ。」
シルフィー「い・・・いやらしい・・事ぉ?」
まさと「あ・・・意識が・・・」
ミュウ「あれ? どうしたのまさと? 顔色悪いよ」
まさと「あれ? ・・・じゃねェ!! どう聞いたら、そうなるんだよっ!!!!!」
ミュウ「パソコンとかいうのやってて、気が付いたら森にいたんでしょ? 間違ってないじゃない。」
まさと「だから! なんでパソコンがいやらしいんだよーーーーー!!」
シルフィー「しょうがないなぁ、それじゃまさとさん魔法で記憶をのぞいてもいいですかぁ?」
まさと「へ? そんな事できるの?」
シルフィー「えぇ。ことばで聞くよりイメージが伝わりやすいと思いますよぉ。」
まさと「そっか、うん。 たのむよ。」
シルフィー「はい。じゃぁ、目をつむってて下さい」
まさと「はいよ、つむったよ。」
シルフィー「そのまま、動かないで下さい・・・・・・・・リ・ビゥ!」

シルフィーがそう言うと、頭の中に今までの経緯が走馬灯の様に次々と現われては消える。これが彼女に伝わっているのか?

シルフィー「・・・・どうしよう、ねぇ、ミュウ。」
ミュウ「何かわかったの?」
シルフィー「この人ぉ・・・」
まさと「????」
シルフィー「<勇者様>だわぁ!」
ミュウ「えぇ!?」
まさと「おっ俺が勇者ぁ!?」
ミュウ「何んかの間違いでしょ?」
シルフィー「異世界より来たりし者、言動は不可解なれど、その力、極めて偉大なり、我ら同胞と共に魔を討ち倒さん・・・・間違いないわぁ。」
ミュウ「でも、それって1000年も前に成就されたんじゃあなかった?」
シルフィー「そうだけどぉ・・・」
まさと「魔王が復活してたりしてな!」
ミュウ「!!!」
ミュウ「あり得るかも・・・」
まさと「おいおい、冗談だってば!」
シルフィー「おばあさまに聞けば、何かわかるかもしれないわぁ・・・」
まさと「じゃ、これからそこへ?」
ミュウ「ダメね、もう遅いわ。」
まさと「ええ? 手遅れだってのか?」
シルフィー「ちがうの・・・おばあさま・・夜・・・お休みになられるのがとっても早いのぉ。」
まさと「あ・そう・・・」
ミュウ「明日、行ってみましょ!」
ミュウ「今夜は遅いから、もう寝よっか?」
シルフィー「あたし泊まっていい? ミュウのとこ行くって言ったらぁ、パパが遅くなるなら泊めてもらってきなさいってぇ。」
ミュウ「いいよ、一緒にベッドで寝よ。」
まさと「俺は?」
ミュウ「毛布出したげるから、それにくるまって、その辺にころがってなさい。」
まさと「いやー、テストプレイばっかやってるせいかそのまんまで寝る事が多いから、毛布があるだけまだましだな。 わはは!」
ミュウ「あんた、どんな生活してんのよ。」
シルフィー「それじゃぁ、まさとさん、おやすみなさぁい!」
ミュウ「Hな夢ばっか見てちゃだめだよー!」
まさと「・・おいおい・・・」

こうして、夜は更けていった・・・・だが・・・

まさと「うーん。自分の先行きが気になって、ちっとも眠れん。・・・しかたない散歩でもしてくるか・・・・・・・・・」

1n05.jpg
近くの小川でボーっとしていると、ミュウがやってきた・・・

ミュウ「どうしたの? こんなところで。」
まさと「いや、ちょっと考えごと。」
ミュウ「ったくもお! 心配させてくれるわねェ。モンスターが出たらどうすんのよ、昼間の奴みたいに弱いとは限んないんだからね!」
まさと「そういや、何か勇ましい格好だな?」
ミュウ「だってさあ、またモンスターに襲われたらと思って。あんたがいなくなったら、自分の身を守れるのは自分しかないもん。」
まさと「どこにも行かねェよ。今日こっちに来たばっかりなのに、右も左もわかるもんかっての!」
ミュウ「フフッ それもそうね。」
まさと「あ、そうだ。さっきシルフィーが使った、リ・・なんとかって魔法、あんな方法があるんならどうしてすぐに使わなかったんだ?」
ミュウ「あぁ・・あれね。」
ミュウ「あたし、あの魔法使えないんだ。」
まさと「使えないって・・・同じ一族なんだろ、そのエルフ・・・で、いいのかな?」
ミュウ「そうなんだけどね、一応。」
まさと「なんだ? その一応ってのは?」
ミュウ「その・・・純粋のエルフじゃないの。ハーフなのよ、あたし。」
まさと「いやーそうじゃないかと思ってたんだ! シルフィーをつかまえた時のあのタックル! まごうことなきドワーフの底力を感じたねェ! うん!」
ミュウ「・・・ちょっと!」
まさと「え、なに? 違った?」
ミュウ「大違いよぉっ! 人間とエルフのハーフよっ・・・父さんが人間だったのよ。」
まさと「あ・・・悪りぃ・・・」
ミュウ「まあ、いいわ。 で、その半分まじってるせいで魔法の契約がうまくできないの。」
ミュウ「おかげで、こういうものの世話にならなきゃいけないけどね。」
まさと「あ、剣ね。全くダメなのか魔法?」
ミュウ「ううん。攻撃系なら少し。」
ミュウ「かけたげようか? 魔法。」
まさと「よく言うよ、もうかけてるくせに!」
ミュウ「え、何の事?」
まさと「・・・恋の魔法。」
ミュウ「・・・・ぷっ! くっくくっ は、はじめて見たわよ、そういう事、真顔で言う奴ぅ!」
まさと「あ、ウケた?」
ミュウ「ぷふっ・・くっ! おなか痛ひ・・・ひょっとして、あんた凄いバカなんじゃないの?」
まさと「お、知らんかったか?」
ミュウ「あはは! ほんっとに変な奴!! でも、あんたといると、退屈しなくてすみそう!」
まさと「お誉め頂き恐悦至極にごじゃりまふぅ!」
1n06.jpgミュウ「さ! もどろ。 こんなところにいつまでもいると、風邪ひいちゃうよ。」

そういうとミュウは、手を差し出した。

まさと「そだな。もどるか。」

俺はミュウの手を取ると、そのまま引っ張って抱きかかえたくなる衝動を抑えつつ、その場を後にした。

ミュウ「まさとぉ!」
まさと「え、何?」
ミュウ「シルフィーにベッド占領されちゃった!」
ミュウ「毛布半分使わせてよ。」
まさと「いいけど、襲っちゃうよん!」
ミュウ「いいよ!」ニコッ!
まさと「・・・はあ、俺の負け! 好きにしてくれ」
ミュウ「すわんきゅー!」

ゴソゴソ・・・・・・・・・・・・・・・・

ミュウ「まさとのバカッ! もっとこっちに寄りなさいよ! 風がスースーするじゃないのっ!」
まさと「怒鳴るなよ!」
シルフィー「二人ともぉ、うるさくて眠れないよぉ」
まさと&ミュウ「誰のせいだと思ってんだーーー!」
シルフィー「きゃーーーーーーーーん!」

あーあ、こんなことやってて、本当に現実世界に戻れるんだろうか・・・なんかだんだん不安になってきた・・・。

第2話に続く−

あとがき
ゲームディスクを知人にやってもらった事があるんだけど、みんなこの主人公はワシに似てるって言うんだよな。(笑)

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