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Marx-まあくす- |
−第1話に戻る−
まさとの下り立った大地、そこはゲーム世界と酷似していた。ワーウルフ等のモンスターが徘徊し、人は自然の中にその生活を見出している世界。この地の人々はこの世界を『ティラ』と呼んでいる。そして、このティラの大地の北に位置しているのが魔族の棲む地『魔圏』であり、今、その魔圏で陰謀が渦巻いていた・・・・。
???「感じる・・・・力・・・・全てを包み込む、大いなる力・・・・感覚を研ぎ澄まさなければ、感じる事のできない程、小さい力だが・・・」 ???「まさしく、勇者の気!」 ???「今は取るに足らない小さな力だが、ゆくゆく我らの邪魔にならないとも限らない。我らの計画の障害となるものは、たとえそれがどんなに小さい事でも、捨ててはおけぬ。」 「魔導三人衆はいるか?」 三人衆「お呼びでしょうか? 超魔導士サイファー様。」 サイファー「うむ。たった今、勇者の気を感じたのだ。」 三人衆A「勇者!? 勇者が現れたのですか?」 サイファー「そうだ。もっとも、今は話にならない位の、弱々しい存在だがな。おそらくは、先の勇者を輩出したエルフの村あたりだろう。」 三人衆B「勇者を探し出して抹殺せよと・・・?」 サイファー「その通りだ。」 三人衆「では早速・・・。」
この様な事象が起こっている事を当のまさと達は知る由も無い。
ミュウ「・・・まさと・・・起きてよ・・・まさと・・・」 ミュウ「まさと・・・・・・・・」 まさと「ん・・どうしたんだミュウ?」
目の前にミュウがいる。気のせいか昼間と打って変わって、いやにしおらしい。なんか、可愛いね。ミュウもこうしてると。
ミュウ「聞いて・欲しい・・・ことが・・あるの・・」 まさと「え?」 ミュウ「その・・・ごめんね、こんな夜中に・・・」 まさと「いいや、別にかまわないよ。」 ミュウ「よかった。」 まさと「で、どうしたの?」 ミュウ「・・・うん・・・あ、あのね・・・」 ミュウ「今日はごめんなさい。シルフィーが来るとは思ってなかったから。変な事になっちゃって・・・」 まさと「ああ、その事ならそんなに気を使ってくれなくてもいいよ。明日<おばあさま>に会えば何かわかるだろうし。」 ミュウ「そうね。でも、それだけじゃないの。ちゃんとお礼が出来なかったから・・・」 まさと「え? お礼って、飯食わせてもらったぜ。」 ミュウ「・・・それだけで満足?」 まさと「満足って・・・?」(ま、まさか?) ミュウ「抱いて欲しいの・・・」 まさと(うひょーーーーーーーーーー!!!) まさと「ミ、ミ、ミ・・・」 ミュウ「ふふっ! そうよ、あたし耳が弱いの。よくわかったわね。」 まさと「そうじゃねェ! いいのかよ、そんな事簡単に言っちゃって・・・」 ミュウ「あたしを守ってくれたわ・・・理由にならない?」 まさと「ミュウ・・・」 ミュウ「来て・・・まさと」 まさと「ん・・・」 ミュウ「ん・・・ああ! まさと!」 まさと「ミュウ、お前の肢体・・すごくキレイだ」 ミュウ「まさとっ!」 ミュウ「まさとも、ステキよ・・・とっても」 まさと「ミュウ・・俺は、お前を・・・」 ミュウ「まっ、まっ、まぁさぁとぉーーーっ!」 まさと(お? 何か知らんがドスがきいた声だな・・・声が上擦ってるんだな、きっと。) まさと「ミュウ、そんなに緊張しなくてもいいぞ。大丈夫だから、さ、もっと力抜いて・・・・うひょ、いやこれがまた・・・おお・・・すげっ・・・・・」 ミュウ「なっっ! 何んて事を・・・あんたの人生、終らせてあげるわよ!」 まさと「へ!?」バキィッ! まさと「痛ってェ!!」(へ? 何んで痛いんだ? これは、ひょっとして・・・・・) ミュウ「いいかげんに目を覚ませってのよっ!」 まさと「どわあああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」
目の前に・・・いや、俺の上にミュウがいる。どうやら、夢を見ていた様だが・・・・やばい。俺、物凄い寝言を言っていたみたいだ。
ミュウ「やっと目が覚めたようね!」 まさと「はひっ! バッチリ覚めましたです・・ハイ。」 シルフィー「あの・・・おはようございますぅ。」 まさと「お、おはよう、シルフィー・・・」 まずい・・・まずいぞこれは! ミュウのやつなんだか、すんげー頭にきてるみたいだ・・・。 ミュウ「あんたがどんな夢見ようと、あたしには関係ないけど・・・いやらしい寝言いうなんて!」 まさと「ご、御免なさいっ!」 まさと「ひえええぇぇぇ!」 ミュウ「だいたい、あたしをネタにいやらしい夢見るなんてどういう了見よっ!」 まさと「いや・・・それは・・・そのっ!」 ミュウ「あんたなんか、こうしてやる! このっ! このっ!」
ドスン! ドスン! ←俺の体の上で暴れている!!
まさと「ぐっ! ぐえっ! ミュウ・・・ぐへっ・・・ご・・・・ごめん・・・お・ぐふぅ!・・・俺が悪かった・・・はん・・・反省して・・ぐえっ・・してます」 シルフィー「ねぇ・・ミュウったらぁ。 後ろから見てるとふたりで、Hしてるみたい・・・。」 ミュウ「・・・え?」 ミュウ「い・・・いわれてみれば、そう見えるかも・・」 ミュウ「とにかく、まさと! 今度、変な寝言いったら、絶対に許さないからねっ! いい!?」 まさと「げふっ・・・身にしみてわかりました・・・」 ミュウ「まさと! さっさとおきて、出かけるわよ!」 まさと「あ、ああ。なんかまだ、腹に痛みが残ってるけど・・・。」 ミュウ「ぐずぐず言ってないで、さっさと用意しなさい。」
腹をさすりつつ起きて洗面へ。にしてもとんでもない朝である。今日も元気だお腹も痛い。と、馬鹿な冗談でも考えてないとやり切れない。(苦笑い)
まさと「うーーー。顔くらい、ゆっくり洗わせろよ。」
ジャブジャブジャブ・・・
まさと「あ、ちゃんと水道があるんだ。これは、木でできてんのか。ふーん、うまいこと作ってるな。」 ミュウ「まったくもう。何、感心してんのよ。さっさとしなさい。」 まさと「へいへい。・・・何だ? 食器が二人分、つけてあるぞ。まさか、朝飯、二人だけで食べちゃったとか・・・?」 ミュウ「あんたねェ。変な寝言いっといて、朝ごはん食べさせてもらえると思ってんの? 抜きよ、抜き!」 まさと「でェー! マジかよ? なあシルフィー、何とか言ってやってよ。」 シルフィー「あのねぇ。まさとさんもぉ、いけないと思うのぉ。」 まさと「・・・・・がっくし。」 ミュウ「じゃ、出かけましょうか。」 まさと「それはいいけど、これなんとかならないか?」
俺は土だらけの足の裏をミュウのほうへむけた。そう、こっちの世界へくる前は部屋の中に居たから、ずっと裸足のままなんだよね、これが。
ミュウ「あ、やっぱり靴はくのね。初めて会った時から、裸足だったから、はかないのかと思ってたわ。」 まさと「サンダルでもなんでもいいから、なんかはく物貸してくれ。」 ミュウ「ちょっと、待ってて。父さんのが合いそうだから物置見てくるわ。」
そう言うとミュウは家の奥にあるはしごを登っていった。
まさと「はあ、何んで家の中にはしごがあるのかと思ってたら、物置になってたのか。」 シルフィー「部屋は広い方がいいってぇ、ミュウが天井に穴を開けて作ったのぉ。」 まさと「言われて見りゃ、まさに取って付けたような。」 ミュウ「うーん。これなんかどうかな。ポンポンッと」
革靴をたたく音がする。
ミュウ「・・・ぐ、げっほ! げほげほ! ごほ!」 シルフィー「でもぉ、ちょっとほこりっぽいのぉ。」
うーん。お約束なヤツ。
ミュウ「けほっ! これなんかどう?」 まさと「あ、悪りぃな。」
さっそく、はいてみるか。・・・・・・・・お、ぴったり。
ミュウ「いいみたいね。」 まさと「親父さんのだろこれ。いいのか?」 ミュウ「いいわよ。連れが裸足なんて、カッコつかないしね。」 ミュウ「それじゃ、あらためて出かけるわよ。」 まさと「ほいほい。」
家を出ると延々続くかのような森の中を抜ける道を歩き続ける。シルフィーの家はこの森を抜けた所にあるらしい。が、しかし、いい加減黙って歩いているのも飽きてくる。
まさと「と、ところでミュウさん?」 ミュウ「なによ?」 まさと「まだ・・・怒ってんの?」 ミュウ「怒ってないと思う?」 まさと「それは・・・」 まさと(後ろから、ものすげー殺気を感じる。) ミュウ「気になるんなら、こっちを振り返ってみれば?」 まさと「う・・・。遠慮しときます・・・。」 ミュウ「根性なし。」 まさと(え、えらい言われよう・・・。) ミュウ「とりあえず、シルフィーの家に顔出しに行くから、ちゃんと挨拶しなさいよ。」 まさと「なんか俺って人格疑われてるみたい。」 ミュウ「疑われるような事したの誰よ?」 まさと「だから、反省してるってのにィ。」 ミュウ「まったく。シルフィー、何でこんなのが勇者だなんて思うわけ?」 シルフィー「あたしもよくわかんない。わかんないからぁおばあさまに聞くのぉ。」 ミュウ「そういう訳だから、まさと、キリキリ歩きなさい」 まさと「なんか、判決台に登る罪人の気分になってきた。」
そうこうしてるうちに森が開けてきた。同時に建物も見えてきた。あれがどうやらシルフィーの家みたいだ。
シルフィー「ついたよぉ、まさとさん。おとうさまぁ、おかあさまぁ、ただいまなのぉ!」 おかあさん「お帰りなさい、シルフィー。」 おとうさん「どうだ? 夕べは楽しかったかい?」 シルフィー「うん。とぉーっても。それでねェ、紹介したい人がいるのぉ。」
そういうとシルフィーは俺のほうを振り向いた。
おとうさん「おお、ミュウ! 遊びに来てくれたのかい?」 ミュウ「こんにちは、おじさん。実はこのバカを長老に引き合わせる必要が出来ちゃって・・・」 まさと(まだ根に持ってんのかこいつ?) おとうさん「おや? 彼はひょっとして人間かい?」 まさと「あ、はじめまして。まさとです。」 おとうさん「ふーむ・・・」
シルフィーのおとうさんは、興味深そうに俺を見つめている
おかあさん「ほら、あなた・・・」
今度は、おかあさんがおとうさんに耳うちしてる。やっぱり、異種族って珍しいんだろうな。
おとうさん「そうか! これは失礼した。彼女の事をよろしく頼むよ。まさと君といったかな。」 まさと「は・・・?」 おかあさん「長老に合わせるって、言ってたわね。大丈夫きっとお許しはもらえるわ。誠実そうな人だもの。安心なさいな、ミュウ。」 ミュウ「あ、あのォ・・・」 おとうさん「なにも、かくす事は無いだろう。一緒になるつもりなんだろう? 彼と。」 シルフィー「ええーー!? そうなのぉ? おめでとうミュウ。とってもお似合いよぉ。」 ミュウ「なんでそうなるのよっ!!」 おとうさん「照れない照れない。」 おかあさん「人を好きになる事は、とってもいい事よ。」 ミュウ「だーかーらー、そうじゃなくって!」 シルフィー「実はねェ、まさとさん勇者様かも知れないのぉそれでェ、おばあさまに見てもらいに行くのぉ。」 おとうさん「ゆ、勇者だってぇ?」 ミュウ「そうなんです。じつは・・・」 まさと「ちょーっと待ったぁ!」 ミュウ「なによ、なんで止めるのよ。」 まさと「お前の事だから、どーせろくでもない説明をしかねないだろーが?」 ミュウ「な、何よぅ?」 まさと「という訳でシルフィー頼むよ。」 シルフィー「はぁい。」
シルフィーはきのうの出来事を説明してくれている。どうやら、正しく伝わっているようだ。
おとうさん「・・・ふーむ。そうか、たしかに長老に伺いをたてたほうがいいかも知れないね。」 まさと「本人は全然自覚ないんすけど・・・」 おとうさん「ともかく、長老は礼拝堂におられると思うから行ってみなさい。」 ミュウ「はい。そうします。」
で・・・礼拝堂とやらに来てみたんだが・・・
まさと「なんじゃこりゃ? 真っ暗ではないか。」 ミュウ「変ねェ、長老ーっ! いないのー?」 長老「呼んだかの?」 まさと「どわーーーっ! でたぁーーーーーーーーっ!!」 まさと「ふ、ふいをついたつもりだ、だだ、だろうけど、そうはいかかかかっ・・いかねーぞこの化け物め! いくぞ! ひーーっさつ・・・」 ミュウ「ちょっと、まさとったら!」 まさと「な、なんだよ。」 ミュウ「この人が・・・長老よ。」 まさと「えーーーー!? 本当? 冗談抜きで?」 シルフィー「あたしのおばあさまなのぉ。」 長老「ミュウや、このそそっかしいのは何者じゃね?」 ミュウ「すいません長老。でも、暗闇からフッと現われるの、やめにしてもらえませんか? そのうちに殴られちゃいますよ、そそっかしい奴に。」 ミュウ「このそそっかしいのは、まさとっていいます。きのうから、あたしン家で面倒見ることになったんですけど・・・・・」 まさと(小声で)「お、おいミュウ。えらく冷静に話してるけど、何んともないのか? あ、あれ。」 ミュウ(小声で)「は、話しかけないでよ、ま、まだ心臓がドキドキいってんだから!」 まさと(小声で)「どれ?」 ミュウ(小声で)「ほら!」ムニッ! まさと(小声で)「・・・・あ、ほんとだ。」 ミュウ(小声で)「でしょ。・・・・・・・・・はっ!」バッキイィィィッ! ミュウ「どさくさにまぎれて、胸さわんないでよっ!」 まさと「痛ってーー! 殴るなよ、お前は!」 ミュウ「殴るわよっ!」 長老「いいコンビじゃのう。」 長老「で? 今日は何用かのう?」 ミュウ「あ・・・すいません長老。さっきから失礼ばかりで。ほら、あんたもあやまりなさいってば!」 まさと「イデデデ! 髪の毛つかむなっ!」 長老「まあよい。わしもうかつじゃったからの。ちと、水晶占いをやっておっての、部屋を暗くする必要があったのじゃ。あいすまなんだのう。」 シルフィー「おばあさまぁ、まさとさん、勇者様なのぉ!」 長老「なんと、それは真か?」 ミュウ「長老ー。それ、あたしたちが聞きたくて来たんですよ! あたしたちに聞き返さないでくださいよ。」 長老「ふぉっふぉっふぉっ! それもそうじゃの! わしとて勇者の伝説ぐらいは知っておるが、見分ける眼力は持ち合わせてはおらぬ。だが、勇者かどうか見極める手段くらいなら知っておるぞ。」 まさと「ほ、ほんとうか、ばあさん!?」 ミュウ「こら! 長老様でしょうがっ!!」 長老「気にするでない。ばあさんでもおババでも好きに呼んでかまわぬぞ。」 まさと「ほら、ばあさん、いいって言ってるぞ。」 ミュウ「あたしは少しはわきまえなさいって言ってるの!」 長老「ほんに、伝承のとうりじゃ。『その者、言動は不可解なれど・・・』見極めの必要など、無いかも知れんのう?」 シルフィー「やっぱりぃまさとさん勇者様なんだぁ!」 長老「ま、そうとばかりは限らんじゃろう・・・この勇者の伝説は一度、成就されておるしの。」 ミュウ「では、その見極めはどうすればいいんですか?」 長老「うむ、その方法を話すのには条件があるのじゃ。」 まさと「条件?」 長老「まさとさんとやら・・・」 長老「わしの<いい人>にならんか?」 まさと「げ・・・」 長老「ふぉっふぉっふぉーのふぉっ! 安心せいほんの冗談じゃ。<聖地ノスパーサ>に行くがよい。行ってほこらの中に納められた<聖剣くさなぎ>を持ち帰ってくるのじゃ。」 まさと「くさなぎ? 日本神話に出てくるあれか? なんでそんなもんがこっちの世界にあるんだ?」 長老「ほう、くさなぎを知っておるのか。これは大当たりかも知れんの。くさなぎは初代勇者<スサノオノミコト>が愛用した聖剣なのじゃ。」 長老「くさなぎを持ち帰る事が出来れば、真の勇者という訳じゃ。」 まさと「出来なければ・・・」 長老「ただの変人じゃの。」 まさと「あらら・・・」 シルフィー「あたしも一緒に行くぅ!」 長老「そうさな、この話に関わったのも何かの縁じゃろう。気を付けるんじゃぞ。」 シルフィー「はぁい。」 長老「ミュウや、足手まといじゃろうが、この子の事をよろしくな。」 ミュウ「そんな、足手まといだなんて・・・あたし魔法にがてですから、心強いです。」 ミュウ「それじゃ、長老。あたしたちはこれで。」 長老「うむ。旅の無事を祈っとるよ。」
なんか、妙なノリのばーさんだったな。
ミュウ「そうだ! せっかくだから、生活に必要な所案内してあげる。」 まさと「そうか、少しは知っといたほうがいいかもな。」
そんな訳で、まずは武器屋から案内してもらう事になった。ぱっと見た所何の変哲もない小屋だが、よく見るとちょっと大きな煙突が立っている。刀鍛冶に必要な竈のものだろう。これがあるだけでも立派に鍛冶屋であり、武器を扱っている場所であるこを物語っているといえるかも知れない。 ミュウについて俺も店の中へと入っていった。
ミュウ「おじさーん。こんにち・・・あ。」 女剣士「『あ』は、ないんじゃないか?」 ミュウ「ファ、ファリア、いたの?」 ファリア「いたら悪いか? ここはお前専用じゃないぜ。」 ミュウ「そういう訳じゃないわよ・・・」 ファリア「はぁ? なんだ今日は男連れか? それもよりによって<サル>とはなぁ。」 まさと「サ・・・サル!?」 まさと「おい! 言っていい事と悪い事があるぞ!」 ファリア「そーゆう、すぐに頭に血が昇るとこが、サルなんだってーの。この・・サ・ル。」 ミュウ「ファリア!」 まさと「バカにしやがってェェーーーーッ!」 ファリア「斬るぞ。」 まさと「う・・・。」(目がすわってる・・・。こいつは本当に人を斬りかねんぞ。) まさと「そ、その・・・なんだ、俺は人間だ。サルなんかじゃ・・・ない・・・ないんです。」 ミュウ「そこまで卑屈になんなくても。」 シルフィー「ファリアァ。まさとさんの事いじめたらだめだよぉ。まさとさん勇者様なんだからぁ!」 ファリア「は? 勇者? これがか? 見当違いじゃねェのか? それに弱ェだろコイツ。一目でわかるぜ。」 まさと(返す言葉が無い。) ファリア「あーそうか! ミュウ。こいつひょっとして、お前のコレか?」←親指を立ててる ミュウ「なっ! ・・・どうして、みんなそーいう目でしか見てくんないのよぅ。」 ファリア「普段、男っ気無しのお前が、男連れまわしてりゃそう見えて当たり前だ。」 まさと(うーん、男っ気無しって事なら、このファリアっていう女の方が上だと思うが・・・。) ファリア「おいお前。今、何か言ったか?」 まさと「いや、何も言ってない。」 ファリア「はん! まあいい。急ぎの用もあるしな。」 ミュウ「また、賞金首?」 ファリア「まあな。」 ミュウ「ファリア。 最近、変だと思わない?」 ファリア「ああ、確かに変だ。ミュウが男連れてる。」 ミュウ「もう! そうじゃなくて、モンスターが強くなってきてないかって、言いたかったの!」 ファリア「ん? そういやそうだな。最近しぶとい奴が増えてきて、なかなかくたばりやがらねェ。それがどうかしたのか?」 ミュウ「うん。魔王が復活しかけてるんじゃないかと・・・・・。」 ファリア「魔王だぁ? いいかげん、そんな大昔の奴の作ったホラ話に、ふりまわされてんじゃねェよ。じゃあな。」 ミュウ「あ、ファリア・・・」
ファリアという名の女賞金稼ぎはそっけなく出ていってしまった。言ってみれば、俺達は軽くあしらわれた感じ。なんとも後味が悪い。が、その後味の悪さを消してくれる人物が現れた。武器屋のおやじである。
おじさん「・・・・・やれやれ、あの娘もあのトゲトゲがなけりゃあ、いい剣士なんだがなぁ。」 ミュウ「もぉ・・・やれやれじゃないわよ。今まで、どこかくれてたのよ、おじさん。」 おじさん「いや、ちょっと裏まで炭を取りにね。」 ミュウ「またぁ。雲行きがあやしくなってきたから、隠れてたんでしょ。」 おじさん「やっぱり解るか?」 ミュウ「おじさん気が弱いもんね。剣が好きな割に。」 おじさん「まあ、そう言うなって。ところで、例のアレなもう少し時間くんねぇか? 年代物だったんで、アチコチいたんでてよぉ、部品替えに手間どっちまって・・・・。」 ミュウ「え、そうなの? あたしあんまりお金無いよ。」 おじさん「そりゃ気にしなくていいって。いつも世話になってっからな、細かい部品代はサービスだ。お前さんが材料集めしてくれてっから、この店もってるようなもんだしな。」 ミュウ「ひゃー、おじさん話せるぅ。ありがとね。」 まさと「ふーん。そういう仕事してんのか。」 ミュウ「あ、仕事って言うほどの事も無いんだけど、まあね。あと、狩りもあたしの範疇ね。」 おじさん「いやー。ミュウの捕って来てくれたエモノは、どれも身がしまってて、うまいんだなぁコレが。」 ミュウ「エヘヘ。」 まさと「そうだな、夕べの飯も、確かにうまかったな。」 ミュウ「でしょ! でしょ!」 ミュウ「じゃあ、おじさん、また後で様子見に来るね。」 おじさん「おう。バッチリ仕上げといてやるよ!」
いや、助かったというべきだろう。武器屋のおやじはさっきまでの重い空気をいっぺんに吹き消してくれた。 さて、次は道具屋。武器屋とならんで旅と冒険に欠かせない店である。
おばさん「いらっしゃい。傷薬からテントまで、ウチにはいろんな物があるからね。ゆっくり見ていってよ」 まさと「へー。なんか駄菓子屋みたいだなぁ。」 ミュウ「ピーンポーン! ここは駄菓子屋兼道具屋なのよ」 おばさん「ちょっと、ミュウ。駄菓子屋を先に言わないでおくれよ。ウチは道具屋が主なんだから。」 ミュウ「エヘヘ。」 ミュウ「まさと。欲しい物があったら、買ったげるよ。あんた一文無しでしょ。」 まさと「いいのか? それじゃ・・・おばちゃん。アメ玉おくれ!」 おばさん「はいよ。3個で10ゴールドだよ。」 まさと「パクッ・・・カリカリ・・・コロ・・コリ・・」 ミュウ「なんか、すごくおいしそうね。」 まさと「おう・・・コリコリ・・・ゴキッ!」 ミュウ「! ・・・あぁ、びっくりした。歯大丈夫?」 まさと「カシカシ・・うん。」 シルフィー「あたしもぉアメ玉ぁ、欲しいなぁ。」 ミュウ「え? いいわよ。じゃおばさん、もう3個ね。」 シルフィー「わぁーい。」 おばさん「はいはい。」 シルフィー「コリコリコリ・・・」 まさと「ゴリゴリ・・・くちゃ・・カリカリ・なあ、ミュウんべっ(←アメ玉出した)おはへほなえない(お前もなめない)?」 ミュウ「出すなーっ!」 ミュウ「もう! 行くわよ! おばさん、また来るから。」 おばさん「いつでも寄っとくれ。」 まさと&シルフィー「コリコリ・・・カリ・・・ゴキ・・・・・・カリ・・・カチカチ・・・」
いかん。なんか子供にかえっちまったぞ。いけないよなぁ、あの店構え。見ているだけでわくわくしてしまう。 それはそうと、シルフィーの同行についてやはり知らせておかねばと、再びシルフィーの家へ。
おかあさん「あら、もう礼拝堂には行ったの?」 ミュウ「ええ、まあ。なんか聖剣を取ってこなきゃいけないらしくて。」 おとうさん「そうか。聖地に行かなきゃいけないのか。・・・たしかに、それしかないかも知れないね。」 シルフィー「あたしもぉ一緒にぃ行くんだよぉ。」 おかあさん「え、あなたも一緒に? 大丈夫なの? 聖地は怪物が沢山いるのよ。」 おとうさん「あ、長老は知ってるのかい?」 ミュウ「ええ、この話に関わったのも何かの縁だろうからって・・・。」 おとうさん「そうか。ま、ミュウも一緒だし、大丈夫だろう。」 まさと「僕だって、ついてますから!」 おかあさん「・・・・あぁ、神様っ! どうかうちの娘をお守り下さい。」 まさと(・・・・・・・俺って、そんなに頼りなさそうに見えんの?) シルフィー「大丈夫だよぅ。番人のファルネとぉ、あたしお友達だもん。」 ミュウ「そか、ファルネはシルフィーにはやさしいもんね」 まさと「ファ・・誰それ?」 ミュウ「聖地ノスパーサの番人、妖精ファルネよ。邪心を持つ者が中に入れないように結界を張ってるのよ。」 まさと「するとあれか? そのファルネがいいって言わないと、中にはいれないとか?」 ミュウ「そゆこと。」 ミュウ「なんでも、初代勇者にも会ってるらしいわよ。ファルネ。」 シルフィー「うん。そういってたよぉ。」 まさと「へー。ずいぶんと長生きなんだな。」 ミュウ「そりゃそうよ。妖精は歳とらないもの。」 おかあさん「とにかくシル。気を付けていくのよ。」 シルフィー「はぁーい。」 おとうさん「ミュウ。シルフィーの事、よろしくな。」 ミュウ「はい。 じゃ、そろそろ・・・」 おかあさん「本当に気を付けるのよ。」 シルフィー「はいはぁーい。」
シルフィーの家を離れると、礼拝堂へと向かう騎士らしき姿が目に入った。
ミュウ「あれ・・・この村に騎士が来てるなんて、めずらしいわね。なんかあったのかしら。」 シルフィー「うん。何だかおばあさまが心配・・・」 ミュウ「ちょっと、様子見に行ってみましょ。まさと、いいよね?」 まさと「ああ、反対する理由なんて無いぜ。」
礼拝堂に入ると未だ中は暗いままだった。
長老「なんじゃ。まだ聖地に向かっておらんかったのか。なにをぐずぐずしておるのじゃ。」 ミュウ「すいません、長老。まさとに村を案内してたんです。しばらくは、こっちで生活する事になるでしょうから。」 謎の剣士「ほう。彼がそうか。」 長老「おお、そうじゃ。彼が勇者・・・かも知れん異世界からの客人、まさとじゃ。」 まさと「あ、どうも。」 ミュウ「あの、この方は?」 謎の剣士「申し遅れた。私はカイゼル。見ての通り剣士だ。」 ミュウ「あたしは、ミュウです。こちらが長老の孫娘のシルフィーです。」 シルフィー「こんにちはぁ。」 カイゼル「ミュウ?・・・そうか、キミがミュウか。」 ミュウ「え? あたしが何か?」 カイゼル「いや、シルビアからキミの事を聞かされていたのでな。」 まさと「シルビア? それってもしかして・・・」 長老「わしじゃ。シルビア=ステイリバー、わしの名前じゃよ。」 まさと「ばあさん。名前負けしてねえか?」 長老「ほっほっほっ。これでも若い頃はべっぴんだったんじゃぞ。」 ミュウ「ちょおろぉー。またあたしの変な噂、広めようとしてたんじゃないんですかぁ?」 長老「いや、わしはただ、グレンハートの娘がいかに勇猛果敢に育っとるか、話しとっただけじゃ。」 ミュウ「勇猛って、それじゃあたしが乱暴者みたいじゃ、ないのぉ!」 まさと(みたいじゃなくて乱暴そのものだと俺は思うぞ。) ミュウ「何か言った?」 まさと「いや、別に。」 カイゼル「わっはっはっはっはっ! そう気に病む事も無かろう。元気が一番だ。」 ミュウ「そ、そうですか? ありがとうございます。」 カイゼル「・・・・・・・・」 ミュウ「・・・・・・・・・・・・・・・・・」 まさと(何を見つめ会ってんだ、この二人。) ミュウ「あの、あたしの顔、何か付いてます?」 カイゼル「・・・いや、私の知っている女性に、面影が似ていたのでな。つい見入ってしまった。失敬。」 カイゼル「では、私はこれで失礼させてもらうとしよう。シルビア。また寄らせてもらうぞ。」 長老「ああ。待っとるよ。」 カイゼル「まさと・・・・・君だったか、君はいい目をしているな。」 まさと「は? 目・・ですか?」 カイゼル「そうだ。嘘偽りの無い真っ直ぐな目だ。」 カイゼル「では、失敬する。」 まさと「・・・ども。」 ミュウ「よかったねぇまさと。剣士に誉められるなんて、そう滅多に、あるもんじゃ無いわよ。」 長老「それも超一流の剣士じゃぞ、あれは。」 まさと「男に誉められても、うれしかねーって。」 ミュウ「でも、見た事のない人だったわね。 長老の知り合いなんですか?」 長老「そうじゃ、古い友人じゃ。何十年かぶりに、近くまで来たらしくて、わしの顔を見に寄ったそうじゃ。」 シルフィー「うーん。うーん。どこで見たのかなぁ。」 ミュウ「どうしたのシルフィー。」 シルフィー「あたしぃ、あの剣士さんにぃ、どこかで会った気がするのぉ。」 シルフィー「でもぉ、カイゼルさんて、はじめて聞く名前なのぉ。うぅーん。」 ミュウ「他人の空似とかじゃないの?」 まさと「ずっと、マスクしてたから顔見えなかったしな。」 長老「うむ、火傷で顔半分やられとるらしくての、痕を見せたくないらしいんじゃ。」 ミュウ「・・・そうなんだ。」 長老「ま、再び会う事もあるじゃろう。しばらく、このあたりにおるそうじゃから。」 シルフィー「じゃぁ、その時に会った事ないか聞いてみようかなぁ。」 長老「いや、それはやめておいたほうがいいぞ。人には、触れられたく無い過去もあるじゃろうしの。」 ミュウ「知られざる過去を持つ覆面剣士かぁ。・・なんかかっこいいわね。」 まさと「うんうん。」 ミュウ「意外と大悪党だったりしてね!」 まさと「本当はよく知っている人物って線も・・・」 長老「大馬鹿者っ! 人様の事を悪く言うもんではない!」 ミュウ「あ、すいません。長老の知り合いでしたね。」 長老「そんな事より、早ぅ聖地へ向かわんか。」 ミュウ「そうですね。 もう少し村の中を案内してから、行く事にしようかと。」 長老「慌てる事も無いが、急ぐんじゃぞ。」
慌てず急げか・・・・そんなに重大な事が起こりつつあるんだろうか。ましてや、その中心に自分がいるなんて、か、考えたくないぞ。(大汗)
ミュウ「んー。まだ早いかな〜。」 まさと「ん? なにが?」 ミュウ「なにって、武器屋よ。」 まさと「ああ、例のアレってやつか? いったい何なんだ?」 ミュウ「なんてことも無いんだけどね。鎧のあつらえ直し頼んであるんだ。父さんの使ってたやつ。もったいないからあたしでも使える様にね。まぁ、覗くだけ覗いてみよっか・・・。」
という訳で再び武器屋へ。
おじさん「ありゃあ、もう来ちまったのか。すまね、もうちょっと待っててくれねえか?」 ミュウ「あ! ちがうのよ、村の中を彼に案内してまわってんのよ。しばらく、あたしン家に居てもらう事に、なったから。」 おじさん「ヘェ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うわぁ! 大変だぁ! ミュウに男が出来たぁーーーーーーー!!」 ミュウ「ちっがーーーーーーうっ!!」 おじさん「わかってらい。 冗談でェ。」 おじさん「兄さん、この辺じゃあまり見かけねェ顔だねェ。どっか遠くから、こっちへ?」 まさと「ええまあ。あ、俺、まさとっていいます。」 ミュウ「きのう、危ない所を助けてもらったんだけど、彼、異世界からきたんだって。」 おじさん「ヘェ・・・・・・・・・大変だ! 勇者様が現れたぁ!」 ミュウ「ちょっと、おじさん真面目に聞いてる?」 おじさん「・・・・てとこかい、シルフィー嬢?」 シルフィー「うん。うん。」 ミュウ「おじさん。同じネタ2回続けて使わないでよ。」 おじさん「・・・・・・・・・・・スゲェ! このネタに気づいたの、お前さんがはじめてだぜ!」 ミュウ「・・・ワザとやってるでしょ。」 おじさん「だってよう。俺っちのネタに最後までつき合ってくれんのは、お前さんぐらいだもんなぁ。」 おじさん「だいたいよう、エルフ一門は感情が希薄でいけねえやな。冷静すぎるっつーか、淡泊っつーかよ。」 まさと「へー。そーは見えないんだけどな。」 ミュウ「何んであたしのほうを見るのかなっ!」 おじさん「いやー! やっぱりミュウはいいやぁ。つっ込むポイントが絶妙だ、こりゃ。」 ミュウ「あたしは大道芸人か?」 まさと「しかしさあ、エルフがエルフを淡泊っつってたら、世話ねェと思うけど?」 おじさん「俺っちは特別でェ。」 ミュウ「おじさんたら、本当調子いいんだから。とにかくアレ、ちゃんとやっといてよ。」 おじさん「悪りぃなぁ、昼過ぎには出来上がってるようにすっから、そのくらいに来てくんな。」 ミュウ「わかったわよ。じゃ、まさと他に行ってみよう」 まさと「そだな。おっさん、またな!」 おじさん「お二人さんっ、式には俺っちも、ちゃんと呼んでくれよっ!」 ミュウ「・・・なんかもう、熱が出そう。」 シルフィー「クスクス・・・」
何度話しても飽きないおやじだ。(笑)
ミュウ「そうだ、この先に行きつけのランチハウスがあるから、そこでお昼にしない?」 まさと「め、飯か?」ぐきゅるるるーーー! まさと「そうだよ。朝飯食わせてもらってねえから、腹減りまくり・・・」 ミュウ「それじゃ、と・つ・げ・き〜!」 まさと「うぉりゃぁぁぁぁ!!」
どたたたたたたっ!
シルフィー「あ〜ん! 二人ともぉ、すごく早いよぉ!」
ぱた・ぱた・ぱた・・・
−第2話#2ヘ続く− |
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